児童の語彙力低下を指摘する報告が多く見られる.児童のコミュニケーションの頻度や読書量の減少など,生活環境の変化を指摘する声も多い.筆者の勤務する小学校で,授業をしたり参観したりするとき,教師の発する言葉が児童にうまく伝わらない状況が見受けられるようになってきた.本研究は,教師の発話だけでは正しく情報が伝わらない状況を作り,次に,児童の持つ記憶痕跡の心象に直結する教師の発話を行うことで,児童の未形成な概念を正しい概念に修正することができるのかどうか,その効果について検証した.その結果,教師の発話による学習指導において,児童の正しい概念形成を促す上でのいくつかの知見が得られた.