日本体育・スポーツ・健康学会予稿集
Online ISSN : 2436-7257
第73回(2023)
セッションID: 3c601-11-06
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アダプテッド・スポーツ科学 ポスター発表
大学生を対象とした短距離伴走体験学習の実践と検証
*近藤 克之森丘 保典尾縣 貢
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抄録

体験的に学習する手法は様々な分野で展開されており、学習者が直接体験を通して主体的に学ぶ態度を高めることが期待できる。本研究では、大学における「アダプテッド・スポーツ」の授業内で実施した短距離伴走体験学習において、実践内容と学生の事前想定および振り返り内容、さらに視覚障害のある当事者(競技経験者)の意見を踏まえて、学生が短距離走の伴走者として、どのようなことを実感したのかを探索的に検証することを目的とした。実践内容の構築では、Kolb et al(1971)による4 steps of experiential learning を基にした体験学習モデルを援用した。本研究では、全15回の授業回のうち2回分を短距離伴走体験学習に充当させた(この2回の前後においても学習内容を提示した)。学生には視覚に障害のある者はいなかった。また事前に実施した聞き取りでは、短距離伴走経験を有する者もいなかった。体験学習は2人組で実践し、一方が伴走者、他方が視覚障害者の役割を担い、交互に交代して行った。視覚障害者の見え方については、多様な状況が考えられることから、いわゆる全盲の状態を想定し視覚障害者の役割時にはアイマスクを着用した。体験学習時には、日常生活における支援から互いにロープを握って歩く、走る、そして発展的にスキップするという段階を設けた。分析対象は、授業シートの記述内容とした。事前想定で、「具体的にサポートする」とだけ記述していた学生が、振り返り内容で、「あらかじめその場で足を合わせるなど練習をしておくとやりやすい」というように体験を通して伴走方法を具体的な行動として考えた様子が捉えられた。また「急なストップをかけたりなどは、怖さを引き出してしまい効果的ではなかった」というように、対象者の心情に寄り添いながら実践した学生もみられた。当日は視覚障害のある当事者(競技経験者)の意見も踏まえて発表する。

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© 2023 一般社団法人日本体育・スポーツ・健康学会
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