日本体育・スポーツ・健康学会予稿集
Online ISSN : 2436-7257
第73回(2023)
セッションID: 2a1201-04-03
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健康福祉研究部会【課題B】口頭発表
生体電気インピーダンス(BIA)法で測定した細胞内外水分抵抗比率は高齢者の身体機能評価指標として有用か?(介)
*浅野 優次郎辻 大士大藏 倫博
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抄録

目的 BIAで測定した高齢者の全身、上肢、下肢細胞内外水分抵抗比率(以下、抵抗比率)と身体機能との関連を明らかにし、それらの関連はどの部位が強いのか、筋肉量と身体機能との関連より強いのかを検証する。

方法 2011から2020年に茨城県笠間市で実施したコホート研究に参加し、BIA測定に欠損のない989名(重複なし)を分析対象者とした。抵抗比率はマルチ周波数体組成計(MC980A、TANITA)を用い、部位ごとに測定した抵抗値から算出した。身体機能は握力、開眼片足立位、5回椅子立ち上がり、Timed up and go(TUG)、5m通常歩行を測定した。重回帰分析を用い、従属変数に各身体機能項目、独立変数に全身、上肢、下肢の抵抗比率を個別に投入し、性、年齢、BMI、独立変数と同じ部位の筋肉量を調整した。また、身体機能との間の相関係数を抵抗比率と筋肉量のそれぞれで算出し、CORTESTI(STATA)を用いて比較した。

結果 全身、下肢の抵抗比率と全ての身体機能、および上肢の抵抗比率と握力、開眼片足立位、5回椅子立ち上がりとの間に仮説に沿った有意な関連が見られた。また、5回椅子立ち上がり(r=-0.31)、5m通常歩行(r=-0.33)、TUG(r=-0.44)で下肢の抵抗比率が他の部位の抵抗比率および全ての部位の筋肉量に比べて有意に強く関連した。一方、握力は、全身の筋肉量が全ての部位の抵抗比率より関連が強かった。

考察 抵抗比率は筋肉の質的側面を反映しやすいため動的バランス能力や調整力等を含む機能的項目との関連が強い。一方、筋肉量は量的な側面(筋力発揮)との関連が強いと考えられる。

結論 下肢の抵抗比率は他の部位や筋肉量と比べて様々な身体機能との関連が強かった。抵抗比率は高齢者の身体機能を評価する上で、筋肉量より優れた側面がある可能性が示された。

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