日本体育・スポーツ・健康学会予稿集
Online ISSN : 2436-7257
第73回(2023)
セッションID: 2a201-04-02
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競技スポーツ研究部会【課題B】口頭発表
運動部活動への参加の在り方と学校生活スキルとの関連(方)
高校野球部員を対象として
*中嶋 清之尾縣 貢島本 好平
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抄録

学校心理学では、学校生活における問題を未然に防ぐ予防的アプローチとして、すべての生徒を対象とした援助サービスである一次的援助サービス、問題の早期発見・早期介入を目指す二次的援助サービス、個別に学習計画を立て援助チームを組み対応していく三次的援助サービスという三段階の心理教育的援助サービスという考え方を提唱している。一次的援助サービスの一つとして、学校生活スキルとそのトレーニングがある。学校生活スキルは、児童生徒が学校生活を効果的に送るために必要となる具体的な行動のことであり、ライフスキル(WHO,1997)の概念が基本的性質として取り入れられている。また、学校生活スキルを児童生徒に教育する活動を、学校生活スキルトレーニングと呼び、いくつかのプログラムが開発・実践されている。

関連して、運動部活動の経験は、生徒の心・技・体の成長をもたらし、学校生活スキルにも影響を与える可能性がある。本研究の目的は、運動部活動への参加の在り方と学校生活スキルとの関係を検証することである。その結果をもとにして、運動部活動への参加が学校生活スキル獲得にどう貢献していけるのかを検討し、心理教育的援助サービスの一環として、学校生活スキルトレーニングに運動部活動を援用した事例を開発するための基礎資料とする。

対象となった高校野球部員1,160名を学年、出場機会、公式戦勝数によってそれぞれ群分けし、各群の学校生活スキルの各下位尺度得点を比較した。検証の結果、学年群、公式戦勝数群において有意差が見られた。学年群においては、進路決定スキルで、3年生は、1年生及び2年生よりも高い得点を示した。公式戦勝数群においては、進路決定スキル、集団活動スキルで、「6勝以上」及び「3-5勝」はそれぞれ「0-2勝」よりも高い得点を示した。また、自己学習スキルで、「3-5勝」は「0-2勝」よりも高い得点を示した。

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