主催: 一般社団法人 日本体育学会
会議名: 日本体育学会第70回大会
開催地: 慶應義塾大学日吉キャンパス
開催日: 2019/09/10 - 2019/09/12
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インターネットの発展により、コーチングに役立つ情報は、タブレットを操作すれば、いつでもどこでも手に入れることができ、コーチはそれを「今日」の練習に活用することができる。しかし、すぐに役に立つ情報は、往々にしてすぐに役に立たなくなる。コーチに求められる学びは、コーチング実践に有用な情報を検索、収集、活用することではなく、情報に潜む本質的構造を見抜き、それを手掛かりに自らのコーチング行動を省察し、コーチングに関する実践力を向上させることで磨かれていく。現在、各スポーツ種目の選手が修得すべき能力は、ますます多様化、高度化している。このことは必然的に各種目の特殊性を際立たせる。そのため、コーチングに関する理論は種目内で完結(タコつぼ化)してしまう傾向があり、このことはコーチの視野を狭くする一要因になっている。一方、高いレベルで抽象化しようとすると、今度は逆に実体と乖離してしまうというジレンマに悩まされる。本シンポジウムでは、ボール(球以外の形状も含む)を使用し、攻撃と防御が直接、同時に対峙するスポーツ種目を「球技」と類型化し、個別種目のコーチングを1つ上のレベルから一般化することが、コーチの学びに有用な知の構築や、コーチング学の深化にどのように貢献できるのかを議論する。