主催: 一般社団法人 日本体育学会
会議名: 日本体育学会第69回大会
開催地: 徳島大学常三島キャンパス/あわぎんホール
開催日: 2018/08/24 - 2018/08/26
p. 93_2
従来競技者のメンタルトレーニングにおける認知行動アプローチでは積極的思考法が推奨されてきた。しかし、これまでの研究知見よりスポーツ競技中に生じる思考とその機能には多様な個人差が想定され、一般化された介入が有効とならない場合も多いと考えられる。本研究は、競技前および競技中の思考における「積極的思考」(研究1)および「自己解釈された機能的思考」(研究2)の有用性について比較・検討を行った。研究1、2いずれも、陸上競技者5名および一般大学生5名を対象とし、発話思考法による競技中(および競技前)の思考を観測する陸上長距離走のタイムトライアルを二回実施し、二回目において思考への介入を行った。毎回、観測によって得られた発話思考プロトコルを元にPAC分析(内藤, 1993)を援用した面接を実施し、各思考の内容やパフォーマンスへの影響について解釈を求めることで、各アプローチの有用性を検討した。その結果、積極的思考を求められることに対する違和感(否定的評価)および自己解釈された機能的思考に対する有用性の認識(肯定的評価)が確認されたことから、対象者の認識を尊重した思考への介入を行う重要性が示唆された。