主催: 一般社団法人 日本体育学会
会議名: 日本体育学会第68回大会
開催地: 静岡大学/静岡県コンベンションアーツセンター
開催日: 2017/09/08 - 2017/09/10
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地方体育史という観点より取り組み、見ることのできた体育授業に関わることがらを三点記してみたい。ひとつは屋外運動場の地方の普及状況を調べることから始まった。授業を支える場である運動場はどのように確保されてきたのか。興味深い史料をいくつか知ることができた。運動場と体育授業、意外なことに教師の関心の外にあった。次に向かったのは大正期の学校体育の実際。学校体操教授要目の実践に尽力した人物と群馬県。体操重点校に残された授業時の心拍数を記した史料。要目体操は本当は実施者にどのように受けとめられていたのか。聞き取り資料と心拍数から浮かび上がったことがら。新しい先進的なスウエーデン体操が残したものは何であったのか。三つ目は、戦後昭和30年代の群馬県の片田舎の島小学校。教師が残した実践録の読み直しを行ってみた。そこには教師と子どもたちとが体育授業に取り組む姿や葛藤が描かれ、器械運動教材の技術解釈の今日的な意味を読みとることができた。そして、その生き残りの教師が未だに行なっている「行進」の授業。それも学校体育史研究の一つの射程であると感じている。