日本体育学会大会予稿集
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第68回(2017)
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一般研究発表(12) スポーツ人類学
12人−09−口−03 中学校体育において銃剣道が教えようとする「伝統的な行動の仕方」「伝統的な考え方」についての基礎的研究
*渡邉 昌史
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p. 288_3

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抄録

 新学習指導要領の武道の選択肢として、銃剣道が明記された。銃剣道は戦前、軍隊の戦闘術であり、中学校等でも実施されていたものが、戦後「スポーツ」として再出発したとされる。小銃の先に短剣を装着したものを模した木銃で相手を突いて競技。有効な攻撃は刺突のみである。現代剣道が「切る」から「打つ」へと理念変化させたのに対し、銃剣道は戦技色を払拭、「スポーツ」化したとするものの「刺突」であり変化させていない。

 学習指導要領には、武道の学習を通じた「伝統的な行動の仕方」「伝統的な考え方」の習得が謳われている。銃剣道における「伝統」とは何か。この命題は換言すれば、銃剣道のもつ教育的内容は何かということであり、中でも「伝統的」とみなされるものは何かということになる。銃剣道のどこに「伝統的」なものを見出し、教えようとするのか。そこで重要になってくるのが、銃剣道を武道として位置づける精神文化である。その文化モデルをどこに置くかによって、銃剣道を特徴づける「刺突」の意味・目的は、その帰結をまったく異にする。

 本研究は、銃剣道で教えようとする「伝統的」なものとは何か。それを明らかにしようとするものである。

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