日本体育学会大会予稿集
Online ISSN : 2424-1946
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第67回(2016)
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一般研究発表(03) 体育心理学
03心−26−口−07 テニス熟練者の打球方向予測における大域的な知覚方略の利用
スローモーション再生呈示による動作認識の検討
*福原 和伸丸山 智子緒方 貴浩佐藤 文平井田 博史樋口 貴広
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p. 112_1

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抄録

 近年、テニスの打球方向予測において、熟練者は対戦相手のボールやラケットなどの局所的な(local)運動情報に注意を向けすぎずに、全身運動を俯瞰的に捉える大域的な(global)知覚方略を利用することが報告されている(Huys他、2009)。本研究ではこの知覚方略の特徴を検討するため、テニス熟練者がどの程度正確に動作を認識しているのか(動作認識)を、スローモーション再生呈示により明らかにすることを目的とした。一般に、スローモーション再生呈示は、通常よりも対象動作がゆっくりと観察できるため、その動作特性を正確に認識する効果があるとされている。実験ではスロー再生(等速、0.75倍速、0.5倍速、0.25倍速)したフォアハンドストローク動作を呈示刺激として、打球方向の予測判断(左・右)ならびに動作認識(ボールと体幹中心の位置評価)について熟練度の効果を調べた。実験の結果、スローモーション再生呈示は予測判断の成績を変えるほどの効果はなかったが、熟練者の体幹中心に対する動作認識を改善させた。以上から、熟練者の利用する大域的な知覚方略は、体幹の動作を的確に見極めることが鍵となる可能性が示唆された。

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© 2016 一般社団法人 日本体育学会
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