日本体育学会大会予稿集
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第67回(2016)
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一般研究発表(02) 体育社会学
02社−26−口−33 弱肉強食を否定する「他者救済」思想を実現する生涯スポーツとしての野外活動
*倉品 康夫
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p. 106_3

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抄録

 アメリカンドリームとは修羅道サバイバル界である。スポーツ報道の定番とはこの弱肉強食界の祝福である▲大衆はスポーツ礼節を無視した場面(勝者:夢が実現した慚愧無き勝者の驕りvs敗者:挫折者として身も世もなく泣き崩れる)を見て一喜一憂し「一将功成りて万骨枯る」の格差社会の縮図を祝福する▲嘉納は「人として社会にたつ以上は社会の存続発展に適応する行動を取らざるを得ない。道徳とはすなわちこの社会の存続発展に適応するということ」で「それには互いに譲り、互いに扶けるということをしなければならぬ。そこで他人よかれと考えこれを行いつつ己をもよくし己をよくしつつ他の利をはかる。すなわち自他共栄の途に出なければならぬ」という▲闘争でなく、競争でなく、協調を、「ともに生きる」姿勢を教えて《他者救済》の菩薩道は災害が頻発する無常な草木国土において悉皆成仏を願う。嘉納面授の弟子が祖述したのが戦前の野外教育・活動であったと考えられる。自分も生き、しかも、他人も生きる関係性(縁起)を常に念頭に置く応災にも役立つ野外活動コンセプトについて検討する。

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