茶葉は世界各地で生産され,その生産地がブランドとしてラベル表示され販売されている。茶葉の生産地を裏付ける科学的・客観的な判別方法として,茶葉の無機元素濃度を測定することが有効であることが認められてきた。本研究は,産地が明確な茶葉の無機元素含有量に対してIBM SPSS(バージョン22)を用いた幾つかの統計学的解析を行い,産地の判別に有効な統計学的解析手法を検討した。ダージリンの茶葉135サンプル,屋久島の茶葉32サンプル,屋久島以外の日本産の茶葉47サンプル,スリランカの茶葉10サンプルを試料とし,ナトリウム,アルミニウム,鉄,マグネシウム,カルシウムの含有量を統計解析に供した。解析においては,ダージリン・屋久島・屋久島以外の日本・スリランカの4群の判別,およびダージリンとその他の産地の2群の判別について,主成分分析,判別分析,決定木分析を行った。その結果,今回のように各群のデータ数が大きく異なる場合,産地判別には判別分析がもっとも精度の高いことが判明した。また,正確な判定のためには複数の解析方法を併用して結論を下す必要があることが示唆された。