保健医療科学
Online ISSN : 2432-0722
Print ISSN : 1347-6459
ISSN-L : 1347-6459
特集
地域づくりに着目した保険者機能強化をめぐる政策動向
岸 英二
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2023 年 72 巻 5 号 p. 376-

詳細
抄録

団塊の世代が75歳以上となる2025年を見据え地域包括ケアシステムの構築が進められてきた.2025年以降,現役世代が減少し医療・介護専門職の確保が困難となる一方で,85歳以上高齢者は増加していく.また,こうした人口動態や地域資源は地域によって異なる.

高齢者の地域での生活は,医療・介護専門職との関わりのみならず,地域の住民や産業との関わりの中で成立するものであり,高齢者自身も多様な主体の一員となり,地域社会は形作られている.こうした地域のつながりの中で,地域住民の主体的な活動や地域の多様な主体の参入を促進し,医療・介護の専門職がそこに関わり合いながら,高齢者自身が適切に活動を選択できるよう,高齢者が元気なうちから地域社会や医療・介護専門職とつながり,そのつながりのもとで社会活動を続け,介護が必要となっても必要な支援を受けながら,住民一人ひとりが自分らしく暮らし続けられる「地域共生社会」の実現を目指していくことが求められている.

2014年の介護保険制度改正により現在の形となった介護予防・日常生活支援総合事業を地域づくりの基盤と位置づけ,保険者である市町村が中心となって,医療・介護専門職がより専門性を発揮しつつ,高齢者や多様な主体を含めた地域の力を総動員するという視点に立ち,地域をデザインしながら,その充実を図ることが求められている.

著者関連情報
© 2023 国立保健医療科学院
前の記事 次の記事
feedback
Top