日本語の研究
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危機言語ドキュメンテーションの方法としての電子博物館作成の試み : 宮古島西原地区を中心として(<特集>琉球語を見る/琉球語から見る)
田窪 行則
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2011 年 7 巻 4 号 p. 119-134

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抄録

本稿は、沖縄県宮古島市西原地区の言語・文化を記述し、それを電子博物館として研究者および地区の住民たちが自由に見られる形で記録・展示し、この言語・文化の継承に資する試みを紹介する。宮古島西原地区は、池間島から明治7年に移住してきた住民が暮らしている。他地区から移住して自分たちの文化と言語を維持する努力をつづけてきたため、他地区より自己アイデンティティの確認作業を行わなければならず、母語と文化を維持してきた。この地区の住人たちは積極的に次世代に言語・文化を伝える努力を続けており、彼らの活動は他の地区の人々のモデルとなりえるものである。電子博物館というウェブ上の記録・展示装置がこのような地域住民の活動や、他の研究者との連携を助けるシステムとして機能し、琉球の言語と文化、ひいては消滅の危機にある言語・文化の記録と継承に貢献しうることを示す。

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