日本語の研究
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院政期訓点資料研究の一問題 : 真言宗における教学的交流を巡って(<特集>資料研究の現在)
宇都宮 啓吾
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2008 年 4 巻 1 号 p. 203-187

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抄録

本稿では、訓点資料研究の一問題として、高麗続蔵経(義天版)の伝持者と真言宗における西墓点使用者とが重なる点や、高野山における喜多院点伝播が高野山中院明算周辺と関わる点、心覚を巡る教学等を具体例に、院政期における訓点資料とその加点者や伝持者を手懸かりとした教学的交流の実態とそこから得られる典籍の素性や加点・移点・伝持に関する分析の必要性を述べた。特に、白河・鳥羽院政期における真言宗の緊密な教学的交流の実態(その一つとしての仁和寺教学圏の問題)と諸宗に亘るヲコト点流布や訓点本の伝持の問題に注目している。また、右の如き訓点資料の分析に必要なデータベースの構築について、血脈類の検索までをも含めた統合的検索システムの視点から、稿者の試みを紹介した。

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© 2008 Author
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