2012 年 60 巻 12 号 p. 502-505
文化財は長い年月が経過する間に,様々に劣化する。出土金属製品は土中で劣化・腐食し,内部に腐食を促進する陰イオンを含んだ状態で出土する。出土木製品は地下水など水分の多い土中で多量の水分を含んだ状態で出土する。そのため,空気中に放置すると鉄製品は錆が進行し崩壊,木製品は収縮・変形が生じる。これら貴重な文化財を保存するためには鉄製品は内部の陰イオンを除去し,樹脂を含浸強化する,あるいは,木製品は内部の水を薬剤で置き換え安定化させることが必要となる。