1986 年 34 巻 4 号 p. 305-308
世界の中のものの多くは分子からできている。小さい分子も巨大な分子もある。小さい分子の酸素や水がどんなにありがたいものか, を考えよう。アリは1cmに3.5億の道しるべ用の分子を落して歩むが, 赤道を一周するのに0.25mgで十分だという。分子はそれほど小さい。一方で遺伝子を刻みつけたテープであるDNAは拡大すると, 8mmフィルムが8kmもつづくほどの超巨大な分子である。そういう小さい分子, 大きい分子をとりあげながら, 化学という自然や人間に直接関係の深い学問について語る。