岩手医科大学歯学雑誌
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原著
硬組織成長線鉛描記法と類骨組織染色法の同時応用に関する検討
遠藤 実熊谷 啓二田中 久敏武田 泰典
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1985 年 10 巻 2 号 p. 78-84

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抄録

EDTA鉛による硬組織成長線鉛描記法に若干の改良を試みるとともに, 硬組織成長線鉛描記法と類骨組織染色法の同時応用に関して検討を行った。

体重200g前後のウィスター系雄ラットに1% EDTA 鉛水溶液 (EDTA 鉛30mg/kg) を 5日間ごとに 2回背部皮下に注射した。2回目の皮下注射より5日後にエーテル麻酔下にて屠殺, 上下顎骨および大腿骨を摘出した。固定完了後, 3~5mm の厚さに切り出し, 実験系を2群に分けその染色性を検討した。第Ⅰ群は硫化ナトリウム加10% EDTA脱灰液にて脱灰後約1mmの厚さに細切し, 0.1%塩化金によるブロック染色を行った。その後5%チオ硫酸ナトリウムで洗滌し, 通法に従がいパラフィン包埋した。7μmのパラフィン切片を作製し, 脱パラフィン後に0.1%塩化金溶液による鍍金染色を施した。第Ⅱ群は固定完了後, 塩化シアヌル溶液による後固定を行った後に, 第1群と同様の操作を行った。

その結果, 第Ⅰ群は切歯象牙質ならびに骨組織において, アルコール脱水列の影響を受けずに明瞭な成長線を認めることができた。また, 第Ⅱ群においては, 類骨組織と同時に硬組織成長線を観察することができた。

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1985 岩手医科大学歯学会
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