森林応用研究
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森林応用研究 25巻2号
大阪府におけるナラ枯れ被害初発地の被害状況の推移
被害発生翌年から6 年間のモニタリング結果
小林 徹哉上森 真広土井 裕介幸田 良介辻野 智之馬場 玲子
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2016 年 25 巻 2 号 p. 13-16

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抄録

大阪府のナラ枯れ被害初発地に、被害発生翌年の2010 年から合計1,600 m2 の調査区を設置し、当年の穿孔被害と新たな枯死個体発生数、枯死個体の2015 年における残存形態、被害後の2015 年における林相を調査した。当年の穿孔被害は、2010 年に34 本(うち7 本枯死)であったのが、 2015 年には1 本(枯死せず)に減少した。2015 年の全生存木に占める過年からの穿孔生存木の割合は、コナラとアベマキともに約85%であり、過年からの穿孔生存木の増加が当年の穿孔被害個体数および新たな枯死個体発生数の減少につながったものと考えられる。調査期間6 年間における枯死個体について残存形態を調べた結果、枯死後2 年~5 年経過した個体全てが、大枝と幹のみ、または主幹が折損していた。人家が近接しかつ急斜面の場所では、落枝や折損による人身や施設等への被害が及ばないよう被害木の処理が必要である。林相調査の結果、7 割はナラ枯れ対象木ではない樹種であり、そのうち43%はソヨゴを中心とした高木層であった。ナラ枯れによる枯死木が14 本と全体の個体数に比べて少なかったことから、今回のナラ枯れ被害が林分構造に及ぼす影響は小さいと予想される。

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© 2016 応用森林学会
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