森林計画学会誌
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アメリカ・カリフォルニア州タホ国有林の森林計画の策定過程における国民参加についての分析
柴田 晋吾
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2000 年 34 巻 2 号 p. 93-103

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抄録

アメリカ国有林の国民参加を導入した現行の森林計画の20年近くにわたる策定の経験は,多くの貴重な教訓を提供しており,紆余曲折を経て昨年9月に新計画規則案が公示されるに至っている。本稿では連邦公示から計画の承認まで11年間を要したカリフォルニア州タホ国有林の森林計画の策定過程における国民参加の状況とその反映の実態の分析を中心に行い,シエラネバダフレームワーク(SNF)と呼ばれる広域分析とクインシーライブラリーグループ(QLG)による地域主導の動きの二つの関連する重要な動きについても触れた。本事例は多様なニーズのぶつかり合う都市近郊型国有林であり,合意形成の困難なケースであると考えられるが,コメントの反映が相当程度行われたことが訴訟に至らずに計画策定が行われた重要な要因となったと考える。一方で代替案の策定等の策定中期における参加の欠如等の問題点が多くの異議申し立てを生んだ原因となったと考える。SNF等の広域分析はニシアメリカフクロウの生息地城の取り扱い等の問題を考えるに不可欠であり,QLGは生態系と地域経済の健全性の両立のための処方箋を地域主導で立案して政府を動かした好事例といえるであろう。

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© 2000 森林計画学会
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