データをいかに獲得するか(design of data),データをいかに分析するか(analysis of data),はデータによる現象解析を志すものの中心課題である。いずれもおろそかにするならば目的を達し得ない。得られたデータの性格を明確に把握し,その性格に応じた分析を施し,過不足なく情報を取り出すことが要訣である,調査と分析のバランスである。これは単なる哲学ではない。現実に即して,すみずみまで表現し,思考し,データを操作するのである。しかし,その根本は,データに対する情熱であり,データなるものに関するフィロソフィーである。情熱は,データによる現象解析が,本当に役に立つという体験に根ざすものであり,フィロソフィーは,データに対するセンスと透徹した現象解析の熟慮によって得られるものである。これを,前置きにして,調査と分析に関するいくつかの課題について話を進めてみることにしよう。これは私の狙っている'調査の科学'の確立に係わるものである。