教授学習心理学研究
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言葉の操作と2種の体験によって構成した教材の妥当性 : 言葉の操作,生活者の体験,科学者の体験の充たすべき条件
知久馬 義朗中馬 和彦
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2008 年 4 巻 2 号 p. 93-113

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抄録

流通経済史の基本的法則の学習テキストを開発した。構成にあたっては,言葉の操作,生活者の体験,科学者の体験の3要素の充足と有機的関連づけに配慮した。授業の結果,ほぼ全員が法則を問題解決に正しく適用できるようになったことが確かめられたが,自発的な仮説検証的活動の成立までは認められなかった。生活者の体験については,所期の期待通りに,日常生活の延長線上にある体験を全身的活動として行うことで,問題解決に必要な前提を造り出せることが確認された。言葉の操作については,法則の適用と使い分けに習熟する問題演習の必要性が示唆された。科学者の体験については,法則の正しさを直接支えるデータ群の処理に関わるだけでなく,全身的活動を通して子どもたちが雑多なデータ群を効率よく獲得できることが重要と考えられた。

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© 2008 日本教授学習心理学会
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