日本言語テスト学会研究紀要
Online ISSN : 2433-006X
ISSN-L : 2433-006X
学びを促すポートフォリオ評価 : 実践報告
村田 美子
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2002 年 5 巻 p. 1-11

詳細
抄録

Content-basedや、学習者中心型授業でプロジェクト・ワーク等に学生が取り組んだ場合など、その評価段階で社会文化能力、批判的思考力、問題解決能力等、従来の項目別客観テストでは計りきれない力を評価する代替的方法が求められる。ここでは評価の概念、言語学習観、教授観、学生と教師の力関係などを根本から捉えなおし多肢選択問題から脱却したよりインターラクティブで、個を反映したポートフォリオに焦点を当てる。ポートフォリオはある期間中の学習者の作品、体験、自己評価、などを系統的に集めたもので学習者の目標、それに向けての努力、成長、プロセス、結果、今後の方向性などを知ることができるデータである。筆者が担当する教授法、Critical Thinking Skills、アメリカ社会(DVに焦点を当てる)のクラスで試みたポートフォリオ及び、その評価法を紹介し、学生の反応、今後の課題等を議論した。学生にインタービュー、アンケートを行った結果、学生達の大半はポートフォィオを肯定的に捉え、やる気や自信、対話の向上、学び方の会得などをあげていた。本稿では教師の負担を軽減できるよう周到な計画手順をあげ、又妥当性、信頼性の問題を減少すべく、明確な評価基準、複数の採点者等のヒントをあげた。今後、自己評価のあり方について、また電子化についても研究をすすめたい。

著者関連情報

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 - 改変禁止 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top