早稲田大学大学院
2018 年 67 巻 4 号 p. 59-69
(EndNote、Reference Manager、ProCite、RefWorksとの互換性あり)
(BibDesk、LaTeXとの互換性あり)
本稿では、主に漢文脈が重視されてきた中島敦「山月記」における創作手法について、中島敦が知り得た生物学の知見を踏まえて論じた。「山月記」は、虎の意識をめぐる李徴の発話内容が李徴を虎に変身した人物であるかのように読ませているのであり、虎に変身した物語/していない物語どちらにも読むことができる。そこに典拠「人虎傳」との差異がある。中島敦文学の独自性は、こうした単一でない文学的想像力にこそ見出される。
すでにアカウントをお持ちの場合 サインインはこちら