2002 年 51 巻 8 号 p. 51-60
読みの教育において支配的なのは解釈学的図式である。いまなお読みの起源として「作者」は影響力を行使し、作品は自立した言語作品とは見なされていない。そして、その解釈学的図式を支えているのは、言語を実体とし道具とみなす言語観である。「個性化」「自由」が言われる今日であればこそ、他者に出会い、他者性の衝撃に撃たれる体験を授業で具体化したい。そのためには、作品のメタレベルを問題にすることが必要であるし、メタレベルを問題とする地平に立つためには、解釈学的図式から脱却し言語実体観の転換を図ることが必須の要件と考える。そのような問題意識に立ったうえで、高校における「ごんぎつね」の授業について報告