金沢女子大学
1994 年 43 巻 4 号 p. 11-21
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上田秋成は、近世歌論の大勢が真淵的万葉主義の擬古を指弾する中で、あえて真淵を承ける形で万葉主義にこだわった。いわば、"遅れてきた万葉主義"者たらんとする。その意味はどこにあるのか。少なくとも、反擬古の蘆庵をくぐりぬけた彼は、真淵そのものではない。実は彼は、真淵の万葉主義のもつ始源性・異質性の契機を、批評性に転換し批評性としての万葉主義に蘇らせたのである。それによって、反擬古の近世歌論はもちろん、真淵をも相対化する視座を得た。
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