保育学研究
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原著<論文>
20世紀初期の日本における恩物積木の実践
野尻 美枝
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2020 年 58 巻 2-3 号 p. 19-30

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抄録

本研究の目的は,20世紀初期の日本における幼児教育の二つの潮流(官立幼稚園・キリスト教主義幼稚園)をふまえ,恩物積木の実践を検討することにある。当時の書籍や学生ノート等を手がかりに各特徴を明らかにする。官立幼稚園の恩物積木は,フレーベルの恩物用法に依拠しつつも子どもがより楽しめるように子どもの年齢別に積木の構成を改変したり,他教材を一緒に用いたりして使用法の緩和を試みていた。一方,キリスト教主義幼稚園は,方法論だけではなくフレーベル思想も鑑みながら恩物の意義を捉え,創作話を用いて忠実に恩物積木を実践していた。この方法は,同時代のアメリカにおける実践に類似していた。

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© 2020 一般社団法人 日本保育学会
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