音楽教育学
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研究論文
音の跳躍がある箇所でのピアノ初見視奏の演奏エラーと視線移動
─ エラー防止とエラー後の視線移動に焦点を当てて ─
夏目 佳子
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2019 年 48 巻 2 号 p. 1-12

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抄録

 本研究の目的は, ピアノ初見視奏時の演奏エラーに関わる視線移動の実態を探索的に明らかにすることである。エラーを起こしやすい音程が広く音の跳躍の大きな演奏箇所のある楽曲を用い, (1) 演奏時の視線位置, (2) 演奏エラーの有無, (3) 鍵盤を確認するタイミング, (4) 演奏エラー時の視線移動を明らかにした。上級者と中級者は, 音の跳躍する演奏箇所に入る前に, 演奏エラー防止のため, ほとんどの場合鍵盤を確認した。演奏エラーのない場合, 上級者は0.8拍から1拍前に, 中級者は0.6拍から1拍前に鍵盤を確認した。中級者は, 跳躍した音の前音を延長し鍵盤を確認することも多かった。上級者はほとんどエラーを起こさず, 中級者は多くのエラーを起こした。中級者のエラー後の弾き直しは約半分に見られた。弾き直し前の中級者の視線位置は, 楽譜の方が鍵盤より多かった。結果から鍵盤の早い確認がエラー回避に寄与することが示唆される。

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© 2019 日本音楽教育学会
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