計算機統計学
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再発事象の変化点の検出のための近似分布を用いた検定法
西島 啓二鎌倉 稔成
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2010 年 22 巻 1 号 p. 23-35

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抄録

本研究では,再発事象の発現が定常ポアソン過程に従うと仮定し,再発事象の発現頻度が変化する点(変化点)の存在に関する仮説検定を考え,検定統計量の帰無分布について考察した.再発事象がn件発現した場合の検定統計量の帰無分布は,互いに独立でないn-2個の自由度1のカイ2乗分布(χ^2_1分布)の最大値の分布で与えられる.しかしながら,その分布を導出することは難しいため,帰無分布の下界及び上界が,それぞれ,独立なn-2個のχ^2_1分布の最大値の分布及びχ^2_1分布で与えられることを理論的に示し,下界及び上界を用いた線形結合により,帰無分布を近似することを検討した.本研究で導出した下界及び上界を用いた近似は,必ずしも近似が十分でないこともあることから,さらに,経験分布関数による近似について検討した.シミュレーション研究の結果,検定統計量の帰無分布は,発現件数nに応じたガンマ分布による近似が可能であると考えられ,ガンマ分布のパラメータを,発現件数nに基づき決定する回帰式を求めた.このガンマ分布を用いた経験分布による近似は,全ての領域で帰無分布の良い近似を与え,また,検定における第1種の過誤確率を名目の有意水準に保つ観点からも,下界及び上界を用いた近似に比べて,帰無分布の良い近似を与えることがわかった.

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© 2010 日本計算機統計学会
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