社会言語科学
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小集団会話における話者の発言傾向を規定する3要素(<特集>実験による言語行動の研究)
藤本 学大坊 郁夫
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2006 年 9 巻 1 号 p. 48-58

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抄録

藤本らは一連の研究から,「話者は会話中自らの個人特性や会話環境に応じて特有の役割を取得し,それに従って発言する」という話者役割の概念を提唱している.そこでこの仮説を受け,叙述形式と会話展開への影響に関する発言傾向から,会語中に話者が取得していた役割について帰納的に特定を試みた.はじめに5人集団による集団討論のデータから"司会型""論者型""収束型""傾聴型""精緻型"という5種類の会話展開パターンを抽出した.これらのパターンは,個人特性・リーダーシップ行動・会話中の印象とそれぞれ特有の関連を示した.つぎに,会話展開パターンと,藤本・大坊(2005c,印刷中)において抽出された叙述パターンとの関連を,正準相関分析により検討した.その結果,司会・聴き手・話し手という話者役割が特定された.

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© 2006 社会言語科学会
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