社会言語科学
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大阪府を中心とした関西若年層における卑語形式「ヨル」の表現性 : 関係性待遇と感情性待遇の観点からの分析
西尾 純二
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2005 年 7 巻 2 号 p. 50-65

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抄録

関西方言では,マイナス待遇表現形式としてヨルが用いられる.本稿では大阪府を中心とした関西若年層におけるヨルの表現性について,表現プロセスを考慮した待遇表現行動の観点から分析を行った.また,待遇表現行動には,関係性待遇と感情性待遇の2つの様式が認められる.ヨルは関係性待遇,感情性待遇のいずれの言語行動においても用いられ,目下という関係とマイナスの感情性のいずれも表示しうる.このような用法をもつ形式は,これまでに報告がないものである.さらに,スタイルの低さから,ヨルを使用することで発話に情意性が生じる。この情意性のために,ヨルは感情的に中立である「驚き」を表現する場面にも使用される.関西方言の待遇表現体系は,人間関係だけでなく,情意性を取り込んだものであり,待遇表現体系の類型を論じる新しい視点を導き出した.

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© 2005 社会言語科学会
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