日本近代文学
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《特集 近代文学研究における〈資料〉の可能性》
芥川龍之介『椒図志異』典拠考
――平田篤胤『古今妖魅考』受容を中心に――
乾 英治郎
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2019 年 101 巻 p. 49-64

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抄録

本稿は、芥川龍之介が高校時代に作成した手書きの怪談集『椒図志異』全六部のうち、「魔魅及天狗」部の典拠について考察したものである。まず、芥川は怪談蒐集の指針を、柳田国男の談話記事「幽冥談」から学んだ可能性を指摘する。さらに、「魔魅及天狗」部が平田篤胤の『古今妖魅考』に大きく依存していることを明らかにする。篤胤の書物は、仏教説話を多く取り上げている。芥川が『今昔物語集』を始めとする説話文学を受容する上で、大きな役割を果たした可能性がある。また、芥川における平田国学の受容を示す資料として、芥川旧蔵書『平田篤胤之哲学』(日本近代文学館所蔵)についても紹介する。

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