以上の結果から, 従来生育データを平坦, 中山間, 山間と地帯分けしていたものを(1)坂井平坦, (2)高志平丹南平坦, (3)高志丹南中山間, (4)奥越, (5)嶺南の5地域に地帯分けし, 生育の特徴を把握することが実際的であることが判った(第4図).特に, 坂井平坦地域よりも高志丹南平坦地域で生育が早い地帯があることなどを明らかにすることができた.以下にその地帯分けによる特徴を記す(第5図).(1)坂井平坦地域 : 穂数多いが, 一穂粒数少なく総粒数は並.収量はやや高い.(2)高志丹南平坦地域 : 生育速度早く, 穂数, 一穂粒数多いが登熟歩合は並.収量は高い.(3)高志丹南中山間地域 : 穂数, 一穂粒数少なく総粒数はかなり少ない.登熟歩合が高いものの収量は低い.(4)奥越地域 : 生育ステージが遅く, 登熟歩合が低いために収量が低い.(5)嶺南地域 : すべてについて平均的な生育と平均的な収量構成要素.今後は, この様な地帯区分毎に, どのような栽培技術対策が有効であるのかをさらに検討することが必要となろう.