日本教科教育学会誌
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児童の絶対音高同定能力についての実験的調査 : 3年生から6年生までの同定能力について
大西 潤一河邊 昭子
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2011 年 33 巻 4 号 p. 31-40

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抄録

成人を対象とした絶対音感の研究は数多く存在するが,子ども,特に,児童を対象とした研究は極めて少ない。本研究では,小学校3年生から6年生の児童を対象とし,幹音の絶対音高の同定を行わせた。結果は以下のとおりであった。(1)Cがもっとも正確に同定され,次にDとBが正確に同定された。(2)学校外で音楽のレッスンを受けている児童は,そうでない児童よりも正確に音高同定ができた。(3)誤答のなかでは正答と隣接する音とを混同した誤答が多く,この傾向は,学校外で音楽のレッスンを受けていない児童において顕著であった。(4)特定の音に反応が集中するような反応バイアスは観察されなかった。(5)学校外で音楽のレッスンを受けていない児童でも,Cは80%以上,もっとも低いFでも40%以上の確率で絶対音高の同定ができた。これらの知見を押さえたうえで,音楽科教育における「固定ド唱法」と「移動ド唱法」の指導について考察した。

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