2010 年 33 巻 1 号 p. 1-10
本研究は,保健学習においてポートフォリオ評価を用いることが,生徒の保健学習に対する「思考・判断」にどのような影響を及ぼすのかを明らかにすることを目的とした。その結果,以下の3点が明らかになった。(1)学習したことを発展させる課題に取り組むことで,90%以上の生徒は「思考・判断」の観点の評価結果がB以上に到達した。(2)「保健授業評価票」の結果から,ポートフォリオ評価を活用することで,「よい勉強」や「よい授業」に関係の強い「意欲」や「有益性」が高値を示した。(3)ポートフォリオ評価には,検討会が重要な役割を果たすことが示された。なぜなら,検討会を通して,生徒の「思考・判断」における観点の評価結果が向上したことや検討会前後の生徒の授業評価が向上したことからも窺える。