女性心身医学
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人工妊娠中絶ケアに携わる看護者のトラウマによる心理的反応とその関連要因
水野 真希
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2016 年 20 巻 3 号 p. 294-301

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抄録

本研究の目的は,人工妊娠中絶ケアに携わる看護者を対象に,中絶ケア体験により生じたトラウマによる心理的反応とその関連要因について明らかにすることを目的とした.2011年10月〜2012年1月に,人工妊娠中絶を実施している医療機関に勤務する202名の看護者を対象に,個人属性,中絶ケアを負担と感じる要因,そして中絶ケア体験から生じたトラウマによる心理的反応を測定するため改訂版出来事インパクト尺度を用いて無記名自記式質問紙による調査を実施した.重回帰分析の結果,中絶ケアに携わる看護者の心理的反応(改訂版出来事インパクト尺度)と有意に関連が見られたのは,「生きる可能性のある胎児が中絶されること」,「ケア中の感情コントロールの困難さ」そして「中絶された胎児に触れなければならないこと」であり,分散の24%が説明された.また31名(15.3%)が心的外傷後ストレス障害(Post Traumatic Stress Disorder:PTSD)ハイリスク群に分類された.看護者の業務に対する意思を尊重し,業務を変更するなどの配慮をすると同時に看護者への支援体制を構築することが,ケアの質向上につながることが示唆された.

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© 2016 一般社団法人 日本女性心身医学会
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