自然エネルギー利用が殆ど図られていない集合住宅を対象として,太陽熱や外気冷熱といった自然エネルギーを,シンプルな機器構成で効率的に室内へ採りこみ,室内温熱快適性の向上と冷暖房エネルギーの削減とを実現するシステムについて研究開発を行った.本報では,空気式の平板型集熱器とバイパス機構を備えた変風量式の全熱交換型換気装置他によって構成する開発システムについて,その熱特性,圧力損失特性,消費電力特性等を加味した動的熱負荷計算を行い,システムの機器構成や制御の最適化設計と,その導入効果の試算を行った.その結果,開発システムの導入によって,冬期,夏期ともに室内快適性が向上し,また冷暖房と換気を合わせた年間空調電力量を約35%削減できることを確認した.