2005 年 30 巻 97 号 p. 39-50
本報では二棟のオフィスビルを連系し,片方の建物に設置した分散型電源から得られる蒸気と電力を他方の建物に融通するシステムを提案し,建物個別に分散型電源を利用するシステムとの性能差をシミュレーションにより定量的に比較した.この結果から,建物間の連系によって経済的に比較的実現可能な範囲でより高い省エネルギー効果が得られることを明らかにした.次に,分散型電源利用システムの省エネルギー性・経済性について,分散型電源発電効率についての感度解析,建物の熱・電力需要特性を決定する建物要因との要因分析を行い,今後予想される発電効率向上等に伴う望ましい建物間の連系の形について考察し,システムの設計時に考慮すべき要因を明らかにした.