土と微生物
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農耕地および森林土壌における微生物バイオマス炭素と無機イオン量との関係
佐藤 輝瀬戸 昌之
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1995 年 46 巻 p. 51-59

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抄録

農耕地土壌(農工大野菜圃場,府中市),二次林土壌(浅間山,府中市)および天然林土壌(小川,北茨城市)の土壌微生物バイオマス炭素と土壌溶液中の無機イオン量を測定した。深さ5-10cmの土壌における微生物バイオマス炭素は,農耕地土壌で160μg/g乾土(深さ40cmまでに100kg/ha),二次林土壌で560μg/g乾土(1200kg/ha),天然林土壌で1100μg/g乾土(1500kg/ha)であった。一方,深さ5-10cmの土壌溶液中の硝酸態窒素は,農耕地土壌で4.4μg/g乾土(深さ40cmまでに17kg/ha),二次林土壌で0.01μg/g乾土(0.01kg/ha),天然林土壌で0.78μg/g乾土(1.0kg/ha)であった。硝酸態窒素の地下水への溶脱を制御する一つの試みとして,農耕地土壌を充填した土壌カラムに硝酸態窒素を添加(104μg/g乾土)し,さらにグルコースを添加(2060μg C/g乾土)した。3日後,これに25mmの降雨に相当するイオン交換水を添加したとき,グルコース添加区では無添加区に比べ微生物バイオマス炭素が約3倍に増加し,硝酸態窒素の溶脱量が約5分の1に減少した。

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