2019 年 58 巻 6 号 p. 412-418
リスク・コミュニケーションに限らず,事業者の意見や主張あるいは情報はステークホルダーにただ伝えるだけでは意味はない.理想は,相手に伝わり,その結果,相手の行動や社会に変化が起きるような実効性のあるコミュニケーションが実現することである.しかし,「本音と建て前」や「忖度」がまん延する日本社会では,ステークホルダーとのコミュニケーションは容易ではない.本稿では,リスクの伝え方だけではなく,コミュニケーションそのもののとらえ方と有能なコミュニケーター育成のための方法を紹介する.また,現在の日本におけるネットやマスコミなどのメディアの影響力について実態を解説し対策についても提案する.