2013 年 52 巻 1 号 p. 19-25
2011 年3 月の東日本大震災と福島第一原子力発電所の重大事故を契機に,太陽光発電システムの普及が加速しているが,「環境に優しい」という技術イメージばかりが先行し,発電設備としての長期信頼性や安全性などの品質に関する議論が後回しとなっている.また,「メンテナンス・フリー」という言葉が先行し,適正な保守点検の技術検討や制度整備もなされていない.それには,そもそも故障や不具合に気がつきにくいという太陽電池モジュールの工業製品としての本質的特性が強く影響している. 本稿では,太陽光発電システムの不具合事例を紹介するとともに,本技術の普及拡大に隠された上記のような問題を指摘する.