火山.第2集
Online ISSN : 2433-0590
ISSN-L : 0453-4360
阿蘇火砕流堆積物 III A 中の塩素の垂直分布
岩崎 文嗣小野 晃司
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1967 年 12 巻 1 号 p. 1-10

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抄録

1) Aso-II, -III A, -III B中のガラス質相中の不溶性塩素含有量は0.06~0.08%である.2) Aso-III Aの1露頭における垂直方向の不溶性含有量の変化は, 岩石の結晶度に関係する.流紋岩のいくつかの組から得られた結果もあわせると, 一般に結晶した岩石は同質のガラス質岩よりもいちぢるしく不溶性塩素含有量が少い.3) これは結晶化の際にガラス中の塩素が放出され, 二次噴気孔などによつて空中に逸散したためであろう.4) マグマ中の塩素含有量をしるためには, 加水作用をうけていない新鮮なガラス質岩がもつとも信頼できる情報源となるであろう.この研究に対して, 東京工業大学桂敬氏に有益な御助言を頂いた.岩石の検鏡に地質調査所一色直記, X線回析に同所安田俊一の両氏のお世話になつた.以上のかたがたに感謝いたします.

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© 1967 特定非営利活動法人日本火山学会
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