2000 年 19 巻 4 号 p. 390-396
歯科用陶材は焼成条件によって, 明度, 彩度, 色相が大きく変化することが知られている.そこで, 焼成条件により表面反射と散乱反射とが三次元的にどのように変化するか自動変角光度計を用いて分光反射率の測定を行った.検討の結果, 表面反射光のピーク強度は, 照射光の波長に依存し一定となるが, 表面反射光の半値角は焼成条件, 陶材の種類, 測定波長により変化した.また, 散乱反射光の強度は, すべての条件において影響を受けた.従来, 陶材の表面反射は照射光と同一の色彩を持つとされてきた.しかし, 表面反射光のピーク部では, 照射光の色彩を正確に反映するが, ピーク周辺部の色彩には変化が生じることが判明した.