歯科材料・器械
Online ISSN : 2188-4188
Print ISSN : 0286-5858
ISSN-L : 0286-5858
原著
チタン鋳造体の機械的性質に及ぼす不純物の影響
土居 寿米山 隆之小竹 雅人奥野 攻浜中 人士
著者情報
ジャーナル フリー

1991 年 10 巻 6 号 p. 844-849

詳細
抄録

チタンの機械的性質は, 含有する不純物元素の量によって大きく変化する.この研究では, チタン鋳造体の機械的性質と材料中の不純物の関係について検討した.純度の異なる5種類のチタンについて, リン酸塩系埋没材を用いて鋳造し, 引張試験および硬さ試験を行い, その機械的性質について検討した.純度の高いチタンを使用した場合, 引張強さは300MPa台で伸びは20%以上であり, ほぼタイプII金合金に相当する.他方, 不純物の多いチタンの場合, 伸びは減少するが引張強さは500MPa近くなり, タイプIV金合金に相当する.リン酸塩系埋没材を用いて鋳造した場合, 鋳造後の硬さはHv57〜68増加する.これらの硬さの増加は, 溶解および鋳造の際に材料中に侵入する不純物に起因するものと考えられる.これらの結果から, いわゆる純チタンと呼ばれるものでも, 適用する部位によって材料を選択する必要があると思われる.

著者関連情報
© 1991 一般社団法人 日本歯科理工学会
前の記事
feedback
Top