ペドロジスト
Online ISSN : 2189-7336
Print ISSN : 0031-4064
論文
北陸および中部地方における縮尺20万分の1土壌図の作成
-包括的土壌分類第1次試案と日本の統一的土壌分類体系第二次案との比較検討-
神田 隆志高田 裕介若林 正吉神山 和則小原 洋
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2016 年 60 巻 1 号 p. 14-31

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抄録

 わが国では,土地利用に左右されない新しい土壌分類法が提案されてきたが,これらの土壌分類法による国土全域を対象とした土壌図の作成は進んでいない。北陸および中部地方北部の3県(富山県,石川県および岐阜県)では新たな知見の蓄積により,既存の国土調査土壌図と比べて,黒ボク土の分布域が広がることが予想される。本研究では,包括的土壌分類第1次試案(包括1次試案)および日本の統一的土壌分類体系-第二次案(2002)-(統一2次案)に基づいた縮尺20万分の1土壌図(包括土壌図および統一土壌図)を作成し,国土調査土壌図との比較を行った。包括土壌図では,褐色森林土大群(国土調査土壌図:63%)が31%と最も分布範囲が大きく,次いで黒ボク土大群(5%)が27%,低地土大群(17%)が17%,赤黄色土大群(2%)が11%,未熟土大群(4%)が8%であり,有機質土大群(<1%),ポドゾル大群(7%)および暗赤色土大群(<1%)はいずれも5%以下であった。国土調査土壌図と比較すると,黒ボク土大群,赤黄色土大群および未熟土大群の面積割合が増加し,ポドゾル大群および褐色森林土大群が減少した。特に国土調査土壌図の褐色森林土大群が包括土壌図の黒ボク土大群となる面積が大きく,分布面積の33%が包括土壌図の黒ボク土大群となった。包括土壌図と統一土壌図の各土壌大群の分布面積割合に大きな違いはなかったが,褐色森林土大群と赤黄色土大群の分布が入れ替わる地域が一部あった。また,統一土壌図では,褐色森林土大群中の58%が黄褐色森林土群に分類され,冷涼な地域においても,広範囲に分布していた。

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© 2016 日本ペドロジー学会
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