情報の科学と技術
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特集:学術コミュニケーションにおけるブロックチェーン技術
特集:「学術コミュニケーションにおけるブロックチェーン技術」の編集にあたって
今満 亨崇
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2024 年 74 巻 3 号 p. 79

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抄録

新しい情報技術・概念は日々提唱・実装されています。それがインフォプロの業務に関わるものであれば,早い段階から概要を把握し,その動向を注視しておいたほうが良いのは言うまでもないことでしょう。

ニュースでは「ブロックチェーン」「暗号通貨」「ビットコイン」「web3」などといった単語かたびたび聞かれるようになりましたが,これらの概念が我々の暮らしをどのように変えるのか,特に日々の業務や学術コミュニケーションにどのような影響を与える可能性があるのかは,意図的に情報収集をしていないとイメージしづらい状況かと思います。そこで今回は「ブロックチェーン」に注目して特集を企画しました。

まずは坂下哲也氏(日本情報経済社会推進協会)に,ブロックチェーンとはどのようなものなのか,どのように社会実装が進んでおり,今後どのような活用が期待されるのかをご執筆いただきました。

その上でここからは,ブロックチェーンが学術コミュニケーションに与える影響を考える記事をお願いしております。濱田太陽氏(株式会社アラヤ)にはブロックチェーンなどを用いて既存の科学の課題解決を目指す分散型科学(DeSci)と,その日本での取り組みであるDeSci.Tokyoについてご紹介いただきました。

宮入暢子氏(学術情報コンサルタント)には人の識別子をテーマに,それが集中管理から分散へシフトしている流れと,その中でブロックチェーンが活用されていることをご紹介いただきました。

川嶌健一氏をはじめとする株式会社NTTデータの皆様には,同社がバチカン教皇庁図書館と共同で実施している文化芸術継承支援の試みをご紹介いただきました。文化芸術継承を支援するコミュニティの形成にNFT(非代替性トークン)を用いることの実証実験を行っており,その成果がまとめられております。

最後は弊誌編集委員が本特集を検討するに当たり行った情報収集の中から,「是非これは紹介したい」と考えたものを記事にまとめております。本特集の他の記事と合わせて紹介した記事をご参照いただけると,よりブロックチェーンが与える影響についての理解が深まると思います。

ブロックチェーンを活用しようとする動きは少しずつ進行しています。本特集がブロックチェーンを,将来の業務に影響を与える技術として注視するためのきっかけとなれば嬉しく思います。

(会誌編集担当委員:今満亨崇(主査),水野澄子,森口歩,野村周平)

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