保健医療社会学論集
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都市高齢者の健康とヘルスプロモーション(大会長講演,<特集>第34回大会(2008年度)首都大学東京)
星 旦二
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2009 年 19 巻 2 号 p. 1-7

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抄録

社会経済的な発展と人々の力量形成を背景にして、我が国の疾病構造は大きく変化してきた。我が国の平均寿命は、OECDの中では、最低レベルから最高レベルにまで延伸した。1980年までは平均寿命が都道府県でトップだった東京都の1995年の順位は、男性20位女性33位だった。2001年に都市部在宅高齢者13,066名の自己記載質問紙調査を実施し、6年間の生存を追跡して、Cox比例ハザードモデルで分析した。生存規定要因は、治療疾病数ではなく、主観的健康感と社会的ネットワーク、それにADLであった。2004年に8,560名を追跡再調査し、共分散構造分析で因果関係を分析すると、身体的健康度は、精神的健康度と社会的健康度に規定される可能性が示唆された。高齢者の生存維持とともに、社会的身体的健康に寄与する可能性の高い精神的健康度の一つである主観的健康感に注目すべきであり、外的妥当性を高める無作為調査を実施するとともに、その支援環境をヘルスプロモーションの視点から整備することに注目すべきである。

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© 2009 日本保健医療社会学会
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