気管支学
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びまん性肺疾患の診断における BAL 細胞成分と TBLB の比較検討(BAL か TBLB か, その適応と限界)
藤田 明金子 昇斎藤 学長尾 啓一椙田 隆栗山 喬之渡辺 昌平大和田 英美
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1986 年 8 巻 4 号 p. 529-536

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抄録

サルコイドーシス, 原因不明の肺線維症(IPF), 膠原病に合併した間質性肺炎・肺線維症(CVD), 過敏性肺炎(HP)などのびまん性肺疾患77例について, BAL細胞成分とTBLBの診断的価値を検討した。TBLBによる診断率は, サルコイドーシス35例(未治療例)中20例57.1%, IPF13例中3例23.1%, CVD14例4例28.6%, HP5例中5例100%, 好酸球性肺浸潤(PIE)症候群4例中3例75%であった。BALによるサルコイドーシスの診断基準を, リンパ球比率≧20%かつOKT4/OKT8比≧2とした場合は, .sensitivity74%, specificity 90%であった。TBLB陽性またはBALの基準を満たしたサルコイドーシスは32例91.4%であった。IPF, CVDのBAL所見は診断上の有用性に乏しかった。HPでは, 全例でBAL液中の総細胞数, リンパ球比率が著増し, OKT4/OKT8比は1未満で, PIE症候群では, 全例でBAL液中の好酸球比率が増加していた。サルコイドーシスの診断率はTBLBとBALの併用で向上し, HP, PIE症候群では, BALのみでも診断上有用であると思われる。

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© 1986 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
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