気管支学
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気管憩室の 2 例
大迫 努斉藤 幸人田中 一穂大本 一夫増田 与野々山 明香川 輝正
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1983 年 5 巻 3 号 p. 263-269

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抄録

気管気管支に発生する憩室は比較的まれである。我々は最近おのおの原因を異にする2例の気管憩室を経験した。症例1は34歳女性で右前胸部無痛性腫脹を主訴として来院した。胸部X線所見上右上縦隔の半円形陰影と, 気管支鏡検査により気管分岐部上約4cmの右側壁に炎症を伴った穿孔部を認め, 右前胸部腫瘤の穿刺液よりガフキー2号陽性を認めたため傍気管リンパ節結核の気管穿孔と診断した。治療を行ない1年後にその部に10×10mmの牽引性の気管憩室を残して治癒した。症例2は36歳男性で血痰を主訴として来院, 肺腫瘍を疑われて気管支造影を行ない, 気管分岐直上部に6×12mmの気管憩室を認めたが, 肺腫瘍の合併も否定できず試験開胸術を行なった。肺病変は病理学的に器質化肺炎と診断されたが, 憩室は先天性と推定される。

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© 1983 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
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