2021 年 43 巻 4 号 p. 377-382
背景.悪性腫瘍による気管支閉塞は治療に難渋する.症例.61歳男性.血痰,咳嗽,呼吸困難を認め救急搬送.来院時高度の呼吸不全を呈し,胸部CTにて気管分岐下から連続した腫瘍性病変により左主気管支内腔は閉塞していた.気管内挿管を施行したが呼吸不全が改善せず,体外式膜型人工肺(extracorporeal membrane oxygenation:V-V ECMO)を導入のうえ,上部消化管用高周波止血鉗子により腫瘤の摘除を行い,左主気管支閉塞の改善を認めた.生検組織診と合わせて左下葉原発肺扁平上皮癌Stage IIIBと診断,化学放射線療法を施行したところ腫瘍の著明な縮小を認めたが,左気管支食道瘻を併発した.食道ステント,気管ステントの適応外と判断されたため,食道バイパス術を施行し経口摂取可能となった.結語.気道閉塞を伴う高度呼吸不全症例において,V-V ECMO導入下に焼灼を伴う気道内処置が可能であった.また,食道バイパス術により経口摂取を獲得することができた.