気管支学
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症例
気管支鏡検査を契機に眼窩周囲に紫斑性変化をきたしたアミロイドーシスの1例
谷 恵利子櫻井 佑輔岩井 亜美平位 佳歩佐藤 一郎木下 有加桑原 学篠木 聖徳江口 陽介南 謙一
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2020 年 42 巻 2 号 p. 164-169

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抄録

背景.アミロイドーシスは,アミロイド蛋白が全身の臓器の細胞外に沈着する疾患であり,様々な機能障害を起こす.皮下出血も症候の1つであるが,気管支鏡検査を契機に眼窩周囲に紫斑をきたした症例を報告する.症例.78歳,女性.人間ドックのCT検査にて縦隔,腋窩,鎖骨上窩リンパ節腫大を認め当院紹介受診となった.縦隔リンパ節腫大の精査目的に超音波気管支鏡下経気管支リンパ節穿刺法を施行した.検査2時間後,両眼窩周囲に紫斑性の皮膚変化を認めた.痛みはなかったが,翌日紫斑が増悪した.頭部CT検査にて異常所見なく,眼科対診するも両眼瞼皮下出血,両眼球結膜下出血,浮腫の診断であった.紫斑は自然消失した.その後,気管支鏡検査の病理所見からアミロイドーシスの診断となり,眼窩周囲の紫斑はアライグマの眼サインであったと判明した.結論.気管支鏡検査などの侵襲行為後に出現した特徴的な紫斑から,本疾患を疑うことは重要である.

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© 2020 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
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